第1話


『モーニング娘。組』 局中法度書
  1.アイドル道に背くまじきこと。
  2.局を脱すること割と自由。
  3.勝手にギャラ貰うべからず。
  4.勝手に引き抜きに応ずべからず。
  5.私の闘争はこっそりやるべし。

上条々相背き候者は仕事を干す也。

「なんやねん、これ」

墨で黒々と書かれた<局中法度書>を見て、
最初に声をあげたのは『娘。組』3番隊隊長加護亜依であった。

「意味不明やん」
「えー、なんで? カオリ一生懸命考えたんだよ」

新撰娘組局長、飯田圭織。
<局中法度書>を考案した張本人である。

「れも、でんでん意味わかんないのれす」

舌足らずな喋り方をするのは、1番隊隊長辻希美。
加護、辻の2人は常に飯田のまわりをちょろちょろしている。
飯田の小姓ども。局内でそんな陰口を叩かれることもあった。

「とくにこの第1条なのれす。
 これは副長や安倍さんを粛清しろということなのれすか?」
「うーん。ののちゃん鋭い。でも、鋭いのはたまに損だよ」

副長の保田圭は、すでに『モーニング娘。組』としては歳を取りすぎている。
6番隊隊長の安倍なつみは、いくらなんでも太りすぎた。
粛清される日もそう遠くない。
局内ではそんな噂が囁かれていた。

「だいいち、この2条や。
 局を脱すること割と自由、てなんやねん。いちいち決める必要あるんかい」
「えー、だってえ」

隊服である麻羽織の裾をいじくりながら、飯田がどこか遠くを見つめ始める。
こうなると誰にも止められない。辻と加護は互いに顔を見合わせた。

「カオリ、大きくなったらお姫様になるんだよ?
 北海道にお城とか建ててえ、かっこいい男の子たくさんはべらすんだもん。
 そうなったら、いつまでも『娘。組』とかいってられないでしょ?」

でかい図体をして、大きくなったらもないものだ。
加護は深く吐息した。

「ののちゃん」
「へい」
「あたしら、しっかりせんとあかんな」
「わかってるのれす」

空に、「ぽじてぃぶ」の文字を染め抜いた旗が翻っていた。
5番隊隊長石川梨華が勝手に作って勝手に飾っている旗である。

局内での評判は、悪い。

乱世である。
幕末日本アイドル会は真っ二つの派閥に分かれていた。
すなわち、ソロとユニットである。互いの思想と芸能生命をかけ、血で血を洗う修羅の光景が日常化していた。
ここにひとつのアイドル集団があった。
UFA幕府直属の浪士軍。
すなわち将軍つんくを中心とした中央集権国家を絶対なものにするため、
若い青春を刃にかけた娘たち。

その名を、『モーニング娘。組』という。


『モーニング娘。組』編成は以下の通り。

局長…飯田 圭織(近藤勇)
副長…保田 圭(土方歳三)
参謀…後藤 真希(伊藤甲子太郎)
1番隊長…辻 希美(沖田総司)
2番隊長…
3番隊長…加護 亜依(斉藤一)
4番隊長…石黒 彩
5番隊長…石川 梨華(武田観柳斎)
6番隊長…安倍 なつみ(伊藤源三郎)
7番隊長…
8番隊長…市井 紗耶香(谷三十郎)
9番隊長…
10番隊長…吉澤 ひとみ(原田左之助)
監察方…新垣 里沙(山崎烝)

平隊士
高橋 愛
小川 麻琴
紺野 あさ美





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